酒場逃亡記

酒呑みの生きネ申様、吉田 類 先生に憧れ、その生き様に追い付け飛び付け!!とばかりに、飲み歩き。 吉田先生が「放浪」なら、我杯は現実からの「逃亡」。 その実態は、酒とヤマトとA○B…笑


幸手横丁

今(2012年現在)を遡る事十数年前、私と中学以来の友人である コンバ 氏 は、九段下でのプロレス観戦の後、地元・幸手にて、プロレスで得た興奮を愉快な談話に昇華させるべく、呑み屋を探して彷徨していた。

だが、生憎、週末ということもあり、アテにしていた呑み屋は満席、途方に暮れていた。
そして、今から思うと「何故あの細い道を歩いていたのか」。
たまたま、偶然「あの小さな店」を見付け、入り込んだのである。

それが、「幸手横丁」だった。

何とも古ぼけた、けっして綺麗な店ではなかった。
7、8人は座れたか、1本カウンター席と、小さなテーブルが3卓ほど、座敷もあったが、10人入れば一杯だったか。
そんな店を、痩せぎすの小柄なマスターが1人で開いていた。

学生時、落語なんぞに手を出してしまった私は、今だにそうだが、人とは違った事柄に興味を持ち、楽しんでいた。
チェーン店の小奇麗な仕様を見慣れていた私は、この店が今まで出入りしていた店とは違う、と感じた。

しかし、それは「汚いけど、イイ感じの店を見付けた」程度の、面白半分のものであった。

それから、何度か友人と通ううちに、徐々にこの店の持つ雰囲気みたいなものに馴染んでいったのである。

友人達も、それが分かったのか、いつの間にか、我々の間には
「呑みに行く=幸手横丁」
という図式が出来上がった。
それは、いつしか、「毎月第2土曜は、幸手横丁で定例会」となっていくのであった。

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当時の主なメンバーは、中学時、同じ部活動(卓球部)に属した友人達である。

因みに、今回の画像が白黒なのは、私は一時期「写真」を趣味にしており、
この店の雰囲気を作品として切り取れないものかと、敢えて白黒フィルムで撮影した為である。

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毎回、同じ顔、同じ話題で盛り上がり、何かというと、翌日に同じ顔ぶれで喜多方までラーメン、宇都宮にギョーザを食べに出掛けたものである…笑


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これといって、特別なメニューはなかった。
今から思えば、その気取らなさ?みたいなものも、魅力の1つだったのか…
いつだったか、「なぜ、生揚げの品書きだけ、傾いているのか」と、訊ねたことがある。答えは、
その真下に置いてあった電子ジャーの湯気を避ける為、であった。

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ししゃも。


我々が好んでオーダーしたのは、なすバター、いかバターであった。

また、シメのチャーハン、やきそばは外せなかった。
未だにそれ以上のものに巡り逢えていない。

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これが、若さか…。

この写真の撮影が平成13年、との記録が残っていた。
11年前に、我々は、僅か数人でこのような「快挙」(?)をなし遂げていたのである。

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幸手横丁のマスター。
我々の好物、なすバターを調理中。

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「ビシッ!!と、仕事してるように撮ってくれよ!!…笑」

…確か、このシャッターを切る直前、そう言われたのを私は覚えている。
覚えているとも。


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もし、ドラえもん がいたら、この画像を通り抜けて、このなすバターを取り出せる道具なんか出してくれないだろうか。
美味かった。

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これで、チャ-ハンや、やきそばを炒めてくれてたんだろうか。
すぐ使えるようなレイアウトを作り上げていたのだろう。



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「定例会」に参集するのは、通常は4、5人であった。
何度か、集められるだけ集めたら、かなりの人数が参集し、流石のマスターも目を回していたっけね。

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「あ~あ、今日はもういいや」
マスター、我々と合流…笑
本当は、10、11時には店仕舞したかったろうに、いつも我々が深夜まで居座っちゃて。

そーいや、何となく巨人贔屓だったマスター、負け試合だと、壁に貼ってあったジャビット君の団扇を、
逆さにひっくり返していた。
たまたま入り込んだ小さな酒場に、こんなにも惹き込まれた我々、通い詰めは数年は続いただろうか…

ある定例会の日、私は別件の飲み会に誘われた。

開始時間は少々遅めだったので、あ、横丁には顔出せるな、と少し早めに店に行った。

「お。早いね。でも、他のはまだ来ないだろうよ」

完全に我々の「あり方」を把握していたマスター。

そーいや、マスター、色々とこの酔っ払いの話を聞いてくれていたなぁ…。
名言こそ無かったものの、やはり人生の先輩としての言葉には含蓄があるなぁと、ありがたかった記憶が…。

マスターとチョコチョコ話しながら、誰か来るのを小1時間は待っていたが、来なかった。
別件との待合せ時刻になってしまった。
一瞬、別件はいいや、いつも通りにコッチでやろう、と思ったのを覚えている。

何故か、かなり後ろ髪を引かれる思いだったが、今日は行きますわ、また来ます、とシメ。

これが、この店で呑んだ最後だった。


案の定、別件の呑みは非常にツマらなかった。
余りにもツマらなかったので、記憶から消えない位、ツマらなかった。 非道かった。行かなければよかった。
翌月、やっぱり、第2土曜の夜は横丁でなきゃダメだな、と、私は店の前まで自転車を扱ぎ着けたのだが…

…あれ…灯りが点いてない…
提灯も出てない。
入り口に小さな貼り紙が…臨休か?

「誠に勝手ながら、○月○○日をもって、閉店しました」

…!!
なんじゃ、そりゃ!?

目を疑ったが…何度読んでも間違い無い。

あの、妙に腰に馴染んだガタガタの椅子は!? チャーハンは!? なすバターは!?

誰も、閉店の理由を知らなかった。
風の噂で、マスターは体調を崩し、店を続けられなくなった、と聞いたが…

しばらく後、同じ場所に違う経営者が入って、やはり居酒屋が開店したが、あの雰囲気は微塵も残っていなかった。


それから、事の起こりのように「居場所」を求めて彷徨したが、それは、未だに成し遂げられておらヌ…
もしかしたら、もう見付からないかもしれない。
だとしたら、私は見付からないものを探してウロついているのだろうか…


それから数年して辿り着いた
「玄海」は、この幸手横丁の隣りだった、という偶然。

…今回は、「酒場逃亡記 episode 0」といった位置付けにて幕。

Comments

 
懐かしい風景をありがとう☆

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御連絡、有難う御座いました!! 
よくぞ、御連絡を下さいました。
マスターに「酒場の楽しさ」を教えてもらった我々、感謝しております。

下らないブログですが、本当に続けていて良かった、と思えました。

我々の中にて、「幸手横丁」は、今だ営業中なり!!

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